偽りの夫婦〜溺愛〜
「僕は、双葉に頼りにされたい。
込山じゃなくて、僕を頼ってよ……!」

「え?込山?」

「電話、したでしょ?
込山に」

「あ、それは……!!」

「それに、双葉からの迷惑なら…かけられても全然構わないよ?
むしろ、頼られてるみたいで嬉しい!」

「紅羽さん…//////」

「ね?だから、これからは旦那である僕を頼ること!
双葉は、僕が守るから……!」

「はい/////」

「はい、良い子!」
ポンポンと双葉の頭を撫でる。


そして―――――

「ほら、もう休んで?大丈夫、ずっとここにいるからね!」
安心させるように微笑む、紅羽。

「………」

「ん?」

「早速ですが…」

「うん」

「頭、撫でてほしいです…//////
そしたら私、寝れます/////」

フフ…と笑った紅羽が、ゆっくり双葉の頭を撫でる。
双葉が気持ち良さそうに目を瞑った。

次第に、寝息が聞こえてくる。
紅羽も安心したように微笑んだ。

それから数時間して、夜が明けて――――
“仕事を休んで看病する”と言った紅羽をなんとか説得し、今双葉は一人でベッドで休んでいる。

「あ、込山に連絡しておかなきゃ!」


スマホを取り、込山に連絡を入れる。

『――――お嬢様、体調は大丈夫ですか?』

「うん。
熱も下がって、落ち着いてるよ!
ごめんね、昨日は夜中に呼び出して…」

『いえ!
大丈夫ですよ!
今は、どうされてますか?
ご昼食をご用意しに参りましょうか?』

「あ、大丈夫だよ!
紅羽さんが用意してくれて、仕事に行ったの!」

『さようですか!
良かった……!
あ、でも今日はおとなしくベッドに横になっててくださいね?』

「………フフ…!」

『ん?お嬢様?』
電話口で双葉がクスクス笑いだし、込山は不思議そうだ。

「紅羽さんと同じ事を言うのね!
大丈夫よ。
起きて家事なんかしたら、紅羽さんに嫌われる!
だから、絶対しない!」

『………』

「ん?込山?」

『お嬢様』

「ん?」

『良かったですね、王子様に出逢えて…!』

「………え?」

『昔、言ってたじゃないですか?
私は、王子様に出逢いたいって!』

「そ、それは!小さい頃の話で…//////」

『でもまさに、紅羽様はお嬢様にとって“王子様”のような方でしょ?』

「………
そうかも…//////」

双葉は顔を赤くしながらも、その通りだと思っていた。
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