偽りの夫婦〜溺愛〜
初夜
「――――そう。
でも、怖いことは何もないわよ?」

後日。
カヨに相談していた、双葉。

「うん…」

「双葉はさ。
“何が”怖い?」

「え?」

「旦那に身体を見せること?
触れられること?」

「………わからない…」

「でも、旦那のことは好きなんでしょ?」

「うん、それははっきりわかった!」

「うーん…
逆に、双葉は思わないの?」

「え?」

「“旦那に触れたい”とか“愛しい”って……!」



“私が紅羽さんに触れたいって思う?”

「うぅ…どうゆうことだろ…?」
自宅マンションに帰ってから、カヨの言葉の意味を考えていた。

交際をしたことがなく、男性にも免疫がない。
しかも憧れの込山のことを好きだと勘違いしていた、双葉。

カヨの言う意味がわからない。

双葉は、ずっと考え込んでいた。


そして………

「ただいまー!」
紅羽の帰ってくる声で我に返る。

「え!?
紅羽さん!?」
慌てて、壁時計を見る。

(嘘!?もう…こんな時間…!?)

「ただいま!
双葉!抱き締めさせて?」
双葉に両手を広げる。

「あ、はい!」
紅羽に抱きつくと、抱き締められた。

紅羽が頬を擦り寄せる。
「んー!幸せ〜」

双葉は、紅羽の腕の中で“触れたくなる意味を”考えていた。

紅羽は共同生活を始めた時から、双葉の頭をよく撫でていた。
今も、幸せだと言って頬を擦り寄せている。

確かに紅羽に頭を撫でられると、とても幸せな気持ちになる。
抱き締められている今も、幸せだ。

キスもびっくりして、ドキドキしたけど嫌じゃなかった。

そしてゆっくり双葉を離すと、顔を覗き込んできた紅羽。
口唇をなぞり「キス、してもい?」と聞いてきた。

「はい…//////」
頷くと、紅羽の顔が近づいてきて口唇が重なった。

キスをして離れると、また紅羽がキスをしてきた。
何度か啄むキスを繰り返して、額と額をくっつけた。
「……/////」
顔や耳を真っ赤にしている、双葉。

「ごめんね、何回もしちゃった…(笑)
嫌じゃなかったかな?」

「はい…//////」

「良かった!
………………あのね?」
額を離して、双葉の手を包み込むように握った紅羽。

「はい」

「僕、元々から好きな子にはスキンシップするのが好きなんだ。
だから、双葉に沢山触れると思う。
頭撫でたり、抱き締めたり、キスしたり……
でね?
嫌だと思ったら、言って?
双葉はこうゆうこと、初めてでしょ?
だから、ちゃんと言ってほしい」
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