偽りの夫婦〜溺愛〜
そして、イタ飯店に着く。
人が多く、名前を書いて持とうとすると……

「あれ?紅羽?」

「ん?あ、太知」
トイレから出てきた太知がいた。

「双葉さんも!」

「あ…こんばんは!」

「こんばんは!」

「今来たの?」

「あぁ」

「だったら、一緒にどう?」

「え?」

「席あいてるし!」

「…………うーん…双葉、どうする?」

円華がいる。

咄嗟に“嫌だな”と思った。
でも、そんなワガママは言えない。

「大丈夫ですよ!」
双葉は微笑み、頷いた。


店内に入り、太知達の席に向かう。

「円華!」

「おかえり〜
ん?紅羽!?と双葉さん?」

「ここに食事に来たみたいでさ。
一緒って誘ったんだ!」

「そっか!
じゃあ…紅羽、ここどうぞ?」
円華が太知の横に座り、席に促した。

「うん。
双葉、こっち!」

「はい!
すみません、突然……」

「いいえ〜」

「二人は何飲む?」
「僕は、ビール…
双葉は、紅茶しておこうか?」

「え?私、飲めますよ?
私も、紅羽さんと同じでビール……」
「太知、ビールとホットティにして」

「了解!」

「紅羽さん、紅羽さん…」
「ん?」
なんとなく紅羽の様子がおかしくて、こそっと耳打ちする。

「私、飲めますよ?」
「うーん…
他に人がいる時は、やめておこうね?」

「え?あ、はい」
(どうしてかな?
来る時は、一杯くらい付き合ってって言ってたのに……
…………ま、いいか!)

「双葉さん、飲めないの?」

「飲めないことはないけど、苦手なんだ」

「そっか〜
酒、旨いのにー!」

「あ、あの!
やっぱり、お付き合いした方が…」

「双葉、そんなことしなくていいんだよ?」
「そうですよ?
ちょっと!太知が余計なこと言うから、双葉さん気を遣っちゃったじゃん!」

紅羽が頭を撫で言って、円華も微笑み言った。

「ちょっと聞いただけじゃん!
ごめんなさい、双葉さん」

「あ、いえ!
こちらこそ、すみません。
……………」

「ん?双葉?」
「どうしました?」

紅羽と円華が、首を傾げて双葉を見る。

(お似合いだな…お二人…)

双葉は、そんなことを考えていた。
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