「君を愛することはない」ってラブラブハッピーエンドへの常套句じゃなかったんですか!?
 コルンという婚約者がいる以上、出会いの場として使われることの多い夜会などに行く必要はなくサボっていたのだが、参加できるものはなるべく参加するようになった。

 もちろん新たな出会いを求めてではない。
 社交の場は情報収集の場でもあるからだ。

 今ある繋がりを強め、新たに自身の味方をつける。
 それらの行為は決して無駄にはならないし、いざということが起きたとしても対処しやすくなる。

 それに情報を事前に知っているだけで有利になる場面も多いだろう。

“コルンの家は子爵家。子爵家では爵位的に参加出来ないパーティーもあるけれど、侯爵家ならほとんど全部参加出来るわ”

 騎士である彼の力になれるかもしれない情報を、私ならば手に入れられる可能性があるのだ。
 ならば参加しない手はない。

「苦手だったダンスレッスンも、新たに家庭教師をつけて貰ったお陰でそれなりに見えるようにはなってきたし」

 ただ一方的に彼を追いかける私ではなく、いつか彼に選んで貰えるような私へ。
 そうなれるよう、先生に何度も注意された歩き方から改善し私は背筋をまっすぐ伸ばして前に進むのだ。
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