「君を愛することはない」ってラブラブハッピーエンドへの常套句じゃなかったんですか!?

8.今度は向かい合って最初から

「アリーチェ様?」
「会いたかったの、好きなの、ごめんなさい。あの時言った言葉は全然本心じゃなくて」

 まるでタガが外れたように、私の口から言葉が溢れる。
 彼と会っていなかった時間、何度も彼のことを思い出した。
 忘れたことなんてない。

 どうしたって私は彼が好きだから。

 
“結局獲物はなにも狩れなかったけど”
 
 白い花を一輪摘む。
 白い花畑の花はノースポール。黄色い筒状花と呼ばれる中央部の周りに舌状花と呼ばれる真っ白な花弁が広がるこの花の花言葉は、『誠実』だ。

“これからは絶対誠実でいるって、貴方に対して本当のことしか言わないって誓うわ”

 
「私は、コルンのことが好き。ずっとずっと、今も昔もずっと貴方だけを愛しています」
 
 そう告げて花を彼へと渡す。

“ここで泣くのは卑怯よ、私”

 滲みそうになる視界。気付かれないよう少しだけ上を向いて涙を堪える。

 もしこの花を受け取って貰えなかったとしても泣いてしまいませんように。
 どうか今、私の指先が震えていませんように。
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