「君を愛することはない」ってラブラブハッピーエンドへの常套句じゃなかったんですか!?
読みかけの本はエリーが相変わらず持っているので、彼女はいったい何冊の小説を持ち歩いているのだと少々呆れたが、藁にもすがりたい今はありがたく受け取った。
「ありがとう、読んでみる」
「ま、創作物は創作物よ。それでも気休めにはなるでしょ」
さらりとそう告げる彼女に私も頷く。
“それでも何か突破口が見つかればいいな”
なんて思いながら、私は借りた本へと視線を落としたのだった。
◇◇◇
その晩、早速小説を開く。
エリーが貸してくれた三冊のうち一冊は大人の三角関係を描いたドロドロとしたもので最初の十ページで却下。後で読むけど。
二冊目は逆によくある平民出身のヒロインがお忍びで来ていた王子様と出会うという物語で、天真爛漫なヒロインに好感を持ち身分差に悩む彼女に感情移入しながら読んだものの――
「そもそもの前提条件が違いすぎるわね」
確かに侯爵家と子爵家ということで身分差はあるが、互いに貴族同士でもある上に彼は騎士。
これから武勲を立てれば更に上の爵位の授与なんかもありえるし、それにそもそもコルンは父の弟子でもあるのだ。
「ありがとう、読んでみる」
「ま、創作物は創作物よ。それでも気休めにはなるでしょ」
さらりとそう告げる彼女に私も頷く。
“それでも何か突破口が見つかればいいな”
なんて思いながら、私は借りた本へと視線を落としたのだった。
◇◇◇
その晩、早速小説を開く。
エリーが貸してくれた三冊のうち一冊は大人の三角関係を描いたドロドロとしたもので最初の十ページで却下。後で読むけど。
二冊目は逆によくある平民出身のヒロインがお忍びで来ていた王子様と出会うという物語で、天真爛漫なヒロインに好感を持ち身分差に悩む彼女に感情移入しながら読んだものの――
「そもそもの前提条件が違いすぎるわね」
確かに侯爵家と子爵家ということで身分差はあるが、互いに貴族同士でもある上に彼は騎士。
これから武勲を立てれば更に上の爵位の授与なんかもありえるし、それにそもそもコルンは父の弟子でもあるのだ。