「君を愛することはない」ってラブラブハッピーエンドへの常套句じゃなかったんですか!?
 ノースポールの花畑の中で私たちは相変わらず向かい合っている。
 遠くでカンカンと鋭い鐘の音が響くのが聞こえた。

 狩猟大会が終わった合図だろう。

「私、この花に誓うわ。もう不誠実なことはしない。真っすぐにコルンだけを見つめて本当のことだけを伝えるわ」

 誠実という花言葉を持つこの花たちに囲まれて、私は改めて口を開く。

「貴方のことが好きです。私ともう一度、婚約していただけませんか」
「俺も、いつも明るく真っすぐな貴女に癒されていました。アリーチェ様に格好悪いところを見せたくなくて頑張れていた部分もあるんですよ」

 ふふ、と笑みを溢すコルンにドキリとする。
 そんなこと全然知らなかった。

“コルンも私のことを見てくれていたのね”

「アリーチェ様のことが好きです。また、俺と始めてください」
「はい、喜んで!」

 返事をした勢いで目の前のコルンに抱き着く。
 やはり基本の体幹が鍛えているコルンとは違うのだろう。
 私が抱き着いてもビクともせず、コルンが私を抱きとめてくれた。

 そのままぎゅうっと抱きしめられる。
 そしてどちらともなく私たちは唇を重ねた。
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