「君を愛することはない」ってラブラブハッピーエンドへの常套句じゃなかったんですか!?
 そんなことを思いながら、私たちはどちらともなく唇を重ねたのだった。


「触れてもいいですか?」 
「元々コルンなら許可なんていらないんだけど……でもあえて言えば敬語をやめてくれるなら?」

 ベッドに組み敷かれそう告げられた私が上目遣いでそう返すと、コルンが小さく笑う。

「じゃあ、触れる」
「っ」

 短く端的にそう告げられ、私の胸がドキリと跳ねた。

“言い方すらも格好いいわ……!”

 敬語じゃない話し方が新鮮で、もちろんこんなコルンも最高すぎて私は思わずどぎまぎとしてしまう。
 そんな私をにこりと見下ろす彼のエメラルドのような瞳に情欲が揺らめき、それだけで下腹部がきゅんと熱くなるようだった。

 触れる、という宣言の通り彼の手のひらがまだ着替えていなかったドレスの紐へと伸ばされたのを見て私も脱がしやすいように少し体の角度を変える。

 この瞬間を望んでいたのは私だって同じなのだから。

 元々手先が器用だったのか、割りと複雑な仕組みのドレスだったのだが難なく脱がされ肌が露になると、流石の私も少し恥ずかしくなって胸元を両腕で隠した。

“私、あとドロワーズしか着てないわ”
 
< 51 / 59 >

この作品をシェア

pagetop