「君を愛することはない」ってラブラブハッピーエンドへの常套句じゃなかったんですか!?
 一体何回達したのかわからず、荒く呼吸しながらくたりとベッドに沈んでいると、ずっと私に覆い被さり触れていたコルンが体を起こした。

“?”

 離れた体温を怪訝に思いながら彼を見上げると、バサリと服を脱ぎ捨てたコルンの肌が目に飛び込む。

「あ……」

 脱いだ服をベッドサイドに設置していたソファの背もたれへかけようとコルンが上半身を捻ると、彼の肩甲骨辺りにぼこりと盛り上がった傷があることに気付く。

“あれがあの時の……”

 無意識に傷痕へと手を伸ばすと、それに気付いたコルンが私の手をきゅっと握った。

「気になる?」

 こくりと頷くと、彼が私に背を向けたのでそっと私も上半身を起こし傷痕に触れる。
 刺さった矢を引き抜いたからなのか、見た目以上にぼこりと盛り上がったその傷痕は赤く目立つ。

 間近で見て思わずしゅんとしてしまうが、そんな私を察したのかコルンがふっと小さく吹き出した。

「俺の気持ちはあの時と変わっていません。むしろ辛い時にその傷へ触れると、アリーチェを守るためにもっと頑張ろうって気にさせてくれるんだ」
「コルン……」

 彼の声が優しく私に染み込む。
 
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