シュガー・ハイ

この人に気に入ってもらいたい

私はこの日、半年間に及ぶ求職活動に、終止符を打った。

「では、来週から当社で勤務をお願いします。」

面接の人に言われ、私は席を立ち頭を下げた。

「宜しくお願い致します。」


長かった。

収入がないというのが、これほどキツイものなかのかと思うくらい長かった。

思えば、新卒で入った会社は、ブラック企業だった。

今は仕事を覚える期間だからと言われ、朝から夜までずっと働いた。

週末は仕事で疲れ果てて、寝て過ごす事が多かった。

それでもそこの会社を辞めなかったのは、有名ブランドのデザインを手掛けていたからだ。

アパレルショップを見て回る度に、こんなデザインを私も生み出したい。

そんな夢に向かって、毎日仕事を頑張っていた。
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