シュガー・ハイ
そんな会社に別れを言う事になったのは、入社してから10年経った頃だ。

私の後輩が、上司になったのだ。

少し前まで、何でも私に頼ってアドバイスを貰っていた後輩。

役職を得て、尚一層仕事に邁進していた。

その後輩が、ある日私のデザインを見て、はぁーとため息をついた。

「夏美さんのデザインって、シンプル過ぎてつまらないですよね。」

今まで先輩先輩言っていたのに。

「これからは、私がいいと思ったデザインではないと、企画通せませんよ。」

「えっ?」

「当然でしょ?あなたは私の部下なんだから。」

どんなに仕事を頑張って来ても、会社に気に入られた人が昇進していく。

そんな世界に、嫌気が差した。


だから、今度の会社は実力や頑張りを見てくれるかどうかに、こだわった。
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