君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
知らないおじさんに売られる光景を想像し、体が震える。彼氏すらいたことがないのに、おじさんの相手をさせられるの？ガタガタと震えた体はまともに立てなくて、その場に崩れ落ちそうになる。それを「おっと」と言いながら男の人が支えてくれた。

「可哀想になぁ」

男の人の大きな手が私の頭を撫でる。目から涙が溢れてきた。男の人の腕の中で泣きじゃくってしまう。まるで男の人に縋るように「嫌。助けて」と何度も呟いてしまった。

「おっさんの相手するの、そんなに嫌？」

「嫌、です」

しゃくり上げながら私が男の人の質問に答えると、男の人は「ん〜、そうかぁ」と何かを考え始める。もしかして解放してくれる？そんな淡い期待を抱いたけど、それはすぐに打ち砕かれた。

「ほんなら、俺の嫁さんになろか。俺の嫁さんになってくれるんやったらおっさんの相手せんでええで。まあ俺の相手はしてもらうけど」

男の人が「名案！」と言いたげな笑みを浮かべる。ヤクザの組長の妻？絶対に嫌だ。私が首を横に降ると、男の人の目から光が消える。刹那、壁に手を押し付けられた。
< 103 / 177 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop