君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜

「おっさんの相手すんのも嫌。俺の嫁になるんも嫌。そんなん通用せえへんで。お前の馬鹿親父が借金せんかったらこんなことにはならんだんや。で？どっちにするん？日本人のおっさんが嫌なんやったら海外に売るってのも手やで。まあその場合、二度と日本には帰って来れやんけどな」

低い声で言われ、男の人の片手が私の体に触れる。嫌だ。嫌だ。でも日本に帰れなくなることや、おじさんの相手をするのはもっと嫌だ。

「……あなたの、お嫁さんになります」

消えてしまいそうな声で絞り出すように言った。途端に男の人は嬉しそうに笑って私を抱き締める。

「俺、嬉しいわ〜！早速屋敷に帰ろな。桃華ちゃんは白無垢とウェディングドレスどっちがええ？どっちも用意してあるんよ〜。あっ、あと俺の名前は司（つかさ）。旦那さんの名前、ちゃんと覚えるんやで」

男の人はペラペラと喋りながら私の肩を抱き、家の外へと連れ出す。私はただ震えが止まらなかった。

（どうして、もう白無垢やウェディングドレスを用意してあるの？）

その疑問を口にすることができないまま、私は家の外に止められた車に乗せられた。