君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
一人じゃないよ
私の世界はガラリと変わってしまった。変わってしまった世界の中、私の味方でいてくれるのは幼なじみの一（はじめ）くんだけだ。

「一くん、朝ご飯できたよ」

「ありがとう。今日も香凜（かりん）のご飯はおいしそう！」

スーツを着た一くんはニコリと笑う。エプロンを着た私は少し恥ずかしくなりつつも、顔には笑みが浮かんでいた。こうして穏やかな時間が過ごせるのは一くんの隣だけだ。

「今日は遅くなりそう？」

「ううん。早く帰れると思うよ」

そんな会話をしながら朝ご飯を食べる。味噌汁を一口飲んで、「おいしい」と思う。一くんと暮らし始めてやっと食べ物の味がわかるようになってきた。

私は一年ほど前まで普通の会社員だった。でもある日、私が不倫をしているなんて噂が流れて、見覚えのない写真が会社に届いた。私が見知らぬ男性とホテルに入っていく写真だ。

『これはどういうことだね！？』

上司たちに写真を突き付けられた時、私は頭が真っ白になった。だって私は不倫なんてしたことがない。だから必死で身の潔白を説明した。でも、誰もわかってくれなかった。
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