君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
フリージアの花束を
「はい、どうぞ」
ニコニコと目の前の男の人は笑いながら花束を私に差し出す。白と赤のフリージアの花束だ。私の一番好きな花である。でも私はこの人に好きな花を教えたことは一度もない。
「あ、ありがとうございます」
恐る恐る花束を受け取る。ふわりと香りが漂い、鼻腔に入り込んだ。目の前の人ーーー朔弥(さくや)さんは嬉しそうに微笑む。
「美羽(みう)はいつもほしいものも好きなものも何も話してくれないから、君の家のメイドさんから聞き出したんだ。フリージア、好きなんだよね?」
「は、はい。好きです」
ジッと朔弥さんに見つめられる。その目がどこか怖く感じる。私は慌てて朔弥さんに背中を向け、「お花、部屋に飾ってきます」と言い小走りでその場を去った。背中に刺さる視線すらゾッとしてしまう。
朔弥さんは私の両親が勝手に決めた婚約者だ。朔弥さんは月に何度かこの家に遊びに来る。その日が私は憂鬱で堪らない。それを口にすれば「婚約者でしょ!」と叱られるから誰にも言えないけど。
ニコニコと目の前の男の人は笑いながら花束を私に差し出す。白と赤のフリージアの花束だ。私の一番好きな花である。でも私はこの人に好きな花を教えたことは一度もない。
「あ、ありがとうございます」
恐る恐る花束を受け取る。ふわりと香りが漂い、鼻腔に入り込んだ。目の前の人ーーー朔弥(さくや)さんは嬉しそうに微笑む。
「美羽(みう)はいつもほしいものも好きなものも何も話してくれないから、君の家のメイドさんから聞き出したんだ。フリージア、好きなんだよね?」
「は、はい。好きです」
ジッと朔弥さんに見つめられる。その目がどこか怖く感じる。私は慌てて朔弥さんに背中を向け、「お花、部屋に飾ってきます」と言い小走りでその場を去った。背中に刺さる視線すらゾッとしてしまう。
朔弥さんは私の両親が勝手に決めた婚約者だ。朔弥さんは月に何度かこの家に遊びに来る。その日が私は憂鬱で堪らない。それを口にすれば「婚約者でしょ!」と叱られるから誰にも言えないけど。