君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
夏樹くんを見ていると、「何見てんだよ」と声が降ってくる。それに対して「何を見ててもあんたには関係ないでしょ」とぶっきらぼうに返した。

「ひょっとしてサッカー部の練習見てんの?お前って夏樹のこと好きなわけ?」

顔を上げたら光のニヤニヤした顔があった。ムカつく。私はすぐにグラウンドに目を向けて「違う!夏樹くんはただのクラスメート!」と返す。こいつに誰が好きだなんて絶対にバレたくない。

「帰らねぇの?」

「あんたと一緒に帰るわけないでしょ」

いつの間にか光の姿は教室から消えていた。



それから数日後、私は忘れ物をして学校に取りに帰っていた。薄暗くなった教室には私以外誰もいない。

「あった!」

英語のノートをやっぱり机の引き出しの中に忘れていた。これがないと復習ができない。ノートを手にし、さっさと帰るつもりだった。

(……あっ)

何気なく見た夏樹くんの机。椅子に学校指定のカーディガンが掛けられている。夏樹くん、カーディガンを忘れたまま帰っちゃったんだな。それを目にした瞬間、ある欲求が抑えられなくなった。
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