君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
(私、本当に朔弥さんと結婚しちゃうのかな……)
好きという感情が一ミリもない相手と結婚して、幸せな家庭というものは築けるのだろうか。好きというより、怖いという感情の方が強いのに……。でも、この結婚を「嫌だ」という権利は私にはない。
(距離を取ってやっていくしかないよね)
フリージアの香りに少し心を落ち着かせつつ、私は足早に自分の部屋へと向かった。
花瓶にフリージアを飾った後、私がリビングへ行くと先ほどと変わらず朔弥さんはソファに座っていた。私が入って来たことに気付くと、「美羽、おいで」と自分の隣を叩く。私は少し迷ったものの朔弥さんの前に座る。朔弥さんは少しがっかりした顔を見せた。でもすぐにその顔に笑みが浮かぶ。
「ねぇ美羽、今度旅行にでも行かない?」
「えっ……」
突然の言葉に私は固まる。朔弥さんとはまだこうして私の家で会うか、レストランで食事をすることしかしていない。いきなり旅行など無理だ。
「オーストリアに別荘があるんだ。そこに遊びに行こう。僕たち、のんびり過ごす時間があまりにも少ないよ。もっと仲良くなりたいな」
好きという感情が一ミリもない相手と結婚して、幸せな家庭というものは築けるのだろうか。好きというより、怖いという感情の方が強いのに……。でも、この結婚を「嫌だ」という権利は私にはない。
(距離を取ってやっていくしかないよね)
フリージアの香りに少し心を落ち着かせつつ、私は足早に自分の部屋へと向かった。
花瓶にフリージアを飾った後、私がリビングへ行くと先ほどと変わらず朔弥さんはソファに座っていた。私が入って来たことに気付くと、「美羽、おいで」と自分の隣を叩く。私は少し迷ったものの朔弥さんの前に座る。朔弥さんは少しがっかりした顔を見せた。でもすぐにその顔に笑みが浮かぶ。
「ねぇ美羽、今度旅行にでも行かない?」
「えっ……」
突然の言葉に私は固まる。朔弥さんとはまだこうして私の家で会うか、レストランで食事をすることしかしていない。いきなり旅行など無理だ。
「オーストリアに別荘があるんだ。そこに遊びに行こう。僕たち、のんびり過ごす時間があまりにも少ないよ。もっと仲良くなりたいな」