君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
「お疲れ様でした〜!」

「また明日〜!」

居酒屋の前で会社の人たちと別れ、家へと歩き出す。タクシーで帰ろうか迷ったけど、酔いを冷ますために歩いて帰ることにした。時刻は夜の九時を過ぎたところ。結構遅くまで飲んでいたな。

今日は会社の飲み会だった。飲み会といっても仲のいい同期だけが集まっただけだから、肩の力を入れる必要はなく、遠慮なく楽しむことができた。

「ちょっと飲み過ぎたかな……」

フラフラとした足取りで夜道を歩く。こうして夜も普通に出歩けるようになったのは最近のことだ。過去を思い出すと今でも寒気が走る。でももうあの恐怖を感じなくていい。

私は中学生の頃からストーカー被害に遭っていた。出歩くたびに見知らぬ男につけ回され、精神的にかなり苦しい思いをした。そこで大学は思い切って飛行機の距離のところを選び、就職も地元に帰らずこの県でした。両親は複雑そうだったけど、ストーカーから逃げるためにはこれしか方法がない。警察なんてあてにならないんだから。
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