君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
智樹はバイト先が同じで私と同い年の大学生だ。大学は違うものの、よくシフトが被ることが多かったこと、そして同じアーティストが好きという共通点があって、二人で出掛けたりすることも増えて、自然と付き合った。

智樹はとにかく私に優しかった。私が待ち合わせに遅刻しても怒らなかったし、病気になった時は看病しに来てくれて、誕生日やクリスマスには私のほしいものをプレゼントしてくれた。

優しくて素敵な彼氏だと友達から言われた。でも、智樹と恋人として過ごす時間が多くなるにつれて、私の心が智樹から離れていくのを感じた。

浮気をされたとか、悪口を言われたとか、そんなことは何もない。智樹には何の非の打ち所がない。でも優しいだけの彼に私は飽きてしまった。恋心はとっくに冷めてしまっていた。

『私たち、別れよう』

二週間前、電話で別れを切り出した私に智樹はこう言ったんだ。

『それなら、最後にデートしたい』

別れる予定の相手とデートなんて憂鬱だ。でもこれで別れることができるならと、私は最後のデートに付き合うことにした。
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