君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜

でも今日、朝ご飯を私に食べさせたあと、翠さんは私の頭を撫でながら言った。

「少し急用ができたから昼前まで出掛けてくるよ。いい子で待っててね」

これは絶対に逃してはならないチャンスだと思った。翠さんが出掛けたあと、私はこうして縄と格闘している。後ろ手に縛られているため、腕が動かしづらい。でも頑張らないと！

「早く……早く……！」

少しずつ縄が緩んできた。諦めずに腕を動かし続ける。そして、ついに腕が自由になった。ずっと縛られていたから腕の感覚がおかしい。手を少しさすってから、足首を縛る縄を解く。拘束を全て解いた。

「よし、逃げよう！」

逃げて警察に通報して、平穏な日常生活に戻るんだ。こんなところにいちゃダメだ。監禁されていた部屋のドアへと向かう。ドアは幸いにも鍵は掛かっておらず、何の抵抗もなく開いた。

監禁されていた部屋から出たことはなくて、どこに玄関があるのかわからない。ただ廊下を走り、数分かけてようやく玄関を見つけることができた。