君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
この部屋に連れて来られてから、私の着る服はいつもおとぎ話のお姫様が着ているようなドレスしかない。今もフリルとレースがたっぷりのピンク色のドレスを着ている。

また龍羽さんはドレスを買ったのか。でも箱を受け取る気力はない。もうこの足に重い枷はつけられていないのに……。

私が動かないのに痺れを切らしたのか、龍羽さんは箱のリボンを解いてドレスを箱から出した。淡い水色のドレスだ。今着ているものより装飾は少ない。

「どうだ?気に入ってくれたか?」

「……はい。素敵なドレスですね」

嘘。本当は何も思っていない。数ヶ月前なら、綺麗なドレスを見たら胸を弾ませていた。でも今は何も感じない。何もわからない。感情って何だっけ?

私から感情が消えていってしまっていることに、きっと龍羽さんも気付いている。今も私の感想に喜ぶ様子は全くない。

「お腹は空いていないか?お茶の時間にしよう。今日は××のケーキを買ってきたんだ。前に「食べてみたい」と言っていただろ?」
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