君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
飛鳥くんのお嫁さんとしてきちんとできているのかはわからない。でも、少なくとも今はすごく幸せだ。

寝室に戻り、テーブルに置かれたスマホを手にする。ここ最近はあまり触っていなかった。スマホ依存症なんて言葉があるけど私は無縁だな。

そんなことを考えながらスマホの電源を入れると、何通もメッセージが届いていた。両親でも親戚でもない。会社の元同僚からだ。会社でのことを思い出し、ブルリと体が震える。

「今更何なの……」

不安を覚えながらメッセージアプリを開いた。元同僚の中で一番仲がよかった千鶴(ちずる)からだった。彼女は私がお局社員に理不尽な言いがかりをつけられた時、見て見ぬふりをしていた。

『環奈、本当にごめん!』

『悪い噂の元がわかったよ。飛鳥って名前の小説家!』

『みんな騙されてた。環奈も騙されてる』

『環奈、そいつから逃げて!』

そんなメッセージがずっと送られてきている。私が騙されていた?飛鳥くんが噂を流していた?頭の中が混乱する。その時、寝室のドアが開く音がした。
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