君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜

楽になりたいでしょ

朝、学校の門を通る前に足を止めてしまう。心と体がズンと重い。今日は何をされるのか、考えるだけで小刻みに指先が震えていく。でも行かなきゃ。休んでお母さんに心配をかけたくない。

靴箱の前まで来ると、私の下駄箱の中にゴミが入れられていた。校内用スリッパに嫌がらせをされるのは悲しいがもう慣れている。私はゴミを捨てて教室へと向かった。

廊下を歩いていると、わざとらしく私の悪口が聞こえてくる。繁華街で男をナンパして遊んでいるとか、パパ活をしているとか、駅前のドラッグストアで万引きをしていたとか、根も歯もないことばかりだ。

「ッ！」

聞こえないふりで駆け出す。教室に行ったら、イヤホンをして音楽を流してやり過ごそう。イヤホンをしていれば悪口も何も聞こえない。顔を伏せていればクラスメートの顔は見えない。そう言い聞かせながら進む。

二年二組の教室に着いた。教室のドアを開ける。その瞬間に顔や体に冷たいものが当たった。

「きゃあッ！」