君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
恋人にプレゼントをされるのはきっと嬉しいことなのだろう。それが何もない日のサプライズならば、尚更嬉しいものなのかもしれない。でも私は逆だ。プレゼントされると心が重くなる。

朝日は私の近所に住んでいて、歳は私より二つ下だ。グイグイアプローチをされて最近ようやく付き合うようになったばかり。

初デートの時から違和感をずっと感じている。初デートで彼は私に財布を一切出させなかった。私は割り勘のつもりだったけど、お金を受け取ることはしなかった。そして、帰り際にプレゼントを渡されたんだ。

『こんな僕と付き合ってくれてありがとうございます』

その声と共に差し出されたのは、レースでできたハンカチだった。海外のブランド品らしくハンカチどころか箱ですら輝いて見えたほどだ。

笑顔で受け取ったのがいけなかったんだろう。それからずっと朝日は私に何かをプレゼントしてくる。だからデートの日が苦痛になってしまった。

友達からは「羨ましい」なんて言われるけど、高そうなものばかり贈られるこっちの身にもなってほしい。
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