君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
(逃げなきゃ!)

男が私から目を逸らしたこの瞬間がチャンスだと思った。この部屋から脱出して、警察を呼ばなくちゃ。震える手を握り締め、私は勢いよく立ち上がった。

「三葉!」

男の呼びかけは無視して私は玄関へと走り出す。しかし玄関まで辿り着いた時、私は大きく絶望することになった。

「な、何これ……」

玄関のドアノブには鎖がぐるぐると巻き付けてあった。南京錠まで取り付けられている。私は必死に引っ張ったものの、当然ながらびくともしない。

「まさか逃げようとするなんてね……。鎖で封鎖しておいてよかったよ」

背後から聞こえた声にびくりと肩が震える。次の瞬間、私の視界には天井と男の顔が広がった。男に一瞬で押し倒されたのだと気付き、大声を上げようと口を開く。

「やめてください!!離して!!んんっ……」

言葉は途中で塞がれた。キスをされているからだ。私の両手は男の片手で纏めて拘束されていて、体には男が乗っているためどうすることもできない。
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