君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
「こんにちは。今日のおすすめを教えてください」

先輩が焼いたパンをショーケースに並べていると、声が降ってきた。顔を上げると常連の男性の姿があった。眼鏡をかけていて顔立ちはかなり整っている。インテリ系イケメンって先輩たちが騒いでいる人だ。

「えっと、本日のおすすめはこちらのクロワッサンになります」

「ではそれを一つお願いします」

「かしこまりました」

私は頭を軽く下げてクロワッサンをトングで掴む。そういえばこのお客さん、いつも私におすすめのパンを聞いてくるような……。

「今日はすごい雨ですね」

男性の言葉に私は「そうですね」と返す。痛み止めが効いてくれているおかげで今は頭痛が治っている。このままだといいんだけど……。

「雨はお好きですか?」

「いえ、あんまり。天気痛が酷いので」

「そうなんですか。僕は雨好きなんですよ」

男性は嬉しそうに言う。雨が好きな人なんているんだ。雨音が聞いていて楽しいとかかな?私には理解できない。
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