君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
友達にこのことを言えば、「愛されてるじゃん」なんて言われる。でもどうして裕樹のために色々我慢しなくちゃいけないの。私は裕樹の所有物じゃない。ニコニコと満足げに笑う裕樹に私は口を開く。

「嫌。絶対にデートはこのワンピースで行く。メイクも落とさない」

「そんなのダメだよ!ルール違反だ!可愛い渚を見ていいのは僕だけだよ?そんな格好をしてナンパされたりしたらどうするの?」

「どうして裕樹のためだけに私が色々我慢しなくちゃいけないの?もう無理。付き合いきれない」

デートをするたびに裕樹への気持ちはどんどん冷めていった。今日また言われたら言おうと決めていた台詞を口にする。

「私たち、別れよう」

「……わかった」

あっさりと言われたその言葉に私は驚く。裕樹は寂しそうに微笑んでいた。

「僕、束縛激しかったよね。渚が別れたいって思ってたの知ってたよ。スマホで「彼氏との別れ方」って調べてたよね」

スマホを見られていたのか。でも今はそんなことはどうでもいい。私たちは別れる。

「じゃあ、もう出て行って」

「うん。その前に最後にお願いがあるんだけど」

「何?」

「キスさせて」
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