君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
大学の講義が終わり、住んでいるマンションへと帰る。でもマンションの近くまで来るとあることに気付いた。朝、家を出る時に消したはずの電気がついている。
「お母さんでも来てるのかな」
私の部屋の合鍵は実家に置いてある。だから家族の誰かが来ているのだと疑わなかった。
「ただいま〜」
「おかえり」
その低い声は家族のものじゃなかった。驚いて顔を上げると、そこには翔の姿があった。翔は無表情でこちらを見ている。
「翔、何でここに!?鍵かかってたでしょ!?」
私が驚いてそう言うと、翔は服のポケットから鍵を取り出しながら「合鍵作った」と言う。いつの間に作ったんだ……。
「それよりこっち来て」
翔が手を引っ張る。翔はこんなこと普段はしない。いつも優しい人だ。だからこそ怖い。
リビングに連れて行かれると、テーブルの上に箱があった。アイシャドウが入った箱だ。私の顔色がサッと青ざめていく。
「何で彼氏の俺じゃなくてコッコを推してるの?グッズもコッコの方が多いよね。何で?」
勝手に部屋に入り、勝手に部屋を物色された。でも怒りよりも先に恐怖が生まれていく。翔の目が怖い。全てが怖い。