君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
薄暗い部屋にガシャガシャと音が響く。その原因は私が暴れているからだ。

「外れて……!!お願い……!!」

お人形のようなフリルとレースたっぷりの可愛らしいお洋服を身に纏った私の手足には、その格好に似合わないものがつけられている。それは鎖のついた手錠と足枷だ。首にも首輪がつけられている。

私は少し前までごく普通の高校生だった。でも部活で帰るのが遅くなったある日、車の中に無理やり引き摺り込まれて気が付いたらこの部屋に監禁されていた。

「やだやだやだ……!!」

小さい子どもみたいに涙が溢れてくる。家族に会いたい。友達に会いたい。学校に行きたい。部活をしたい。今まで当たり前だったことが当たり前じゃなくなって、毎日涙が溢れてくる。

「華(はな)」

その甘ったるい声にびくりと体が震える。顔を上げれば、私をここに連れて来た男の人が立っていた。私は壁際に後退る。動くたびに鎖がジャラジャラと音を立てた。

「まだここには慣れない?怯えているの?」
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