君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜

男性は代金を払うとお礼を言ってお店を出て行く。いつも礼儀正しい人だ。でも今日は変な質問をしてきたな……。

「美咲（みさき）ちゃん、今日もあのインテリイケメンにおすすめ聞かれてたね。あの人、美咲ちゃんに気があるんじゃない？」

先輩がニヤニヤしながらそう言ってきたため、「そんなことあるわけないじゃないですか！」と返した。



午後三時。バイトが終わって傘を差しながら家へと向かう。手にはお店で余ったカレーパンの入った袋。雨は嫌いだけど今日はカレーパンに免じて許そう。

「家帰ったらドラマの続き見ようかな……」

家へと急ぐ。その時だった。背後から車が近付いてくる。それに気付いたのは車が私の少し前で止まった時だった。

車から誰かが降りてくる。降りてきたのはあの男性だった。男性は私に近付いてくる。

「急にすみません。××高校ってどこにあるのかわかりますか？妹が迎えに来いって言うんですけど、場所がわからなくて……」

男性の言った高校は私の通っている高校だ。ただ、高校までの道は入り組んでいて地元の人でもわかりづらかったりする。