君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
ケーキ
私の隣の席の旬(しゅん)くんはアイドルみたいにとても可愛い顔立ちをしてる。女の子の服だって何の違和感もなく似合っちゃうんじゃないかってクラスでは密かに言われている。

そんな旬くんの趣味も可愛い。お菓子作りが好きらしい。女の子の私より女の子っぽい。そんな私は二週間前にあった席替えで旬くんと隣になってから、よく手作りのお菓子を貰う。

「寧々(ねね)ちゃん!これ、昨日作ったんだ。よかったらどうぞ」

満面の笑みと共に差し出されたのは、綺麗にラッピングされたブラウニー。お店で売っているやつと変わらないクオリティだ。この前作ってくれたのはシフォンケーキ。その前はマカロンだった。

「ありがとう。いつも作ってもらってばかりでごめん。お返ししたいけど、私、お菓子作りはできないから……」

申し訳なく思って謝ると、旬くんは「いいよいいよ!俺がしたくてしてることだし!」と笑う。笑顔が眩しい。こんなの向けられたら女の子はみんなときめいちゃうよ。

「寧々ちゃんはいつも俺に数学教えてくれてるじゃん?あれが立派なお返しだよ」

「そう。ならよかった」
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