君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜

旬くんとすごく仲がいいかと言われると答えに困る。勉強を教えたり、少し話すことはあっても私は旬くんの連絡先すら知らない。だから、友達と呼ばれる関係じゃないんだと思う。

では異性同士の関係かと聞かれたら、それは迷うことなく否定する。旬くんはこのクラスのアイドルだけど、異性として意識はしていない。だって私は他のクラスに彼氏がいるから。

「寧々〜！現国の教科書忘れたから貸して〜！」

クラスのドアを開け、彼氏の太陽（たいよう）が大きな声を出しながら手を振る。その様子にクラスの男子が「また忘れ物かよ〜」とこっちを見ながらニヤニヤ笑う。私は教科書を引き出しから出し、ドアの方へと足早に向かった。

「太陽、毎回そんな大声出さなくてもいいから！あと教科書！五限目までには返してよ！」

「ごめんごめん。サンキュー！」

クラスの方から笑いが起こる。太陽はよく忘れ物をする。このやり取りは何度目だろうか。でも太陽の無邪気な笑顔と性格が大好きなんだ。