君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
私の背後に向けられた視線なんて、私は何も気付いていなかった。



数週間後、私はいつも通り学校に来ていた。授業を終えてあっという間に放課後。私は教室に残って勉強をしていた。もうすぐテストが近いから勉強しないと。

(とりあえず数学は大丈夫そうだ。一番不安な古典に取り掛かるか)

古典の教科書を取り出し、自習用のノートを鞄の中から出す。そして勉強している時だった。教室のドアが開く音がする。その音に釣られるように顔を上げると、そこには旬くんが立っていた。

「寧々ちゃん、こんな時間まで勉強?」

「うん。テストが近いから」

そう言い私がまたノートに目を向けようとすると、「ちょっと休憩したほうがいいんじゃない?」と旬くんが話しかけてくる。その手にはラッピングされたカップケーキがあった。

「さっき調理部で作ったんだ。よかったら今食べてみて」

旬くんがそう言うので、私は手を止めてカップケーキを食べることにした。アラザンやチョコペンなどで可愛くアレンジされている。

「おいしい!旬くん、お菓子作り上手だね〜。おまけにこんなに可愛いし」

私がカップケーキを食べながら言うと、旬くんは「お菓子言葉って知ってる?」と私の隣に座りながら訊いた。お菓子言葉?花言葉みたいなもの?
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