君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
初めて高嶺さんと出会ったのは、私が会社に入社した時だった。私は幼い頃からこの会社に憧れていて、その会社で働けることに誇りを持っていた。そんな私の教育担当になったのが高嶺さんだった。

高身長でルックスも良し。おまけに高学歴だから女性社員の憧れの的。そんな高嶺さんに教えてもらうなんて緊張した。優しく丁寧に仕事を教えてもらったおかげで、私は少しずつできることが増えていったんだ。

「一緒に食事にでも行かない?」

そんな風に誘われたこともあったけど、私は断って仕事に専念した。仕事がすごく楽しかったから。

でも社会人二年目のある日、部長から呼び出された。社内の取引先の重要データが消去されていて、誰が消したのかデータを調べたところ、私のパソコンに履歴が残っていたという。そんなデータ知らない。私は必死に訴えたけど、部長も誰も聞き入れてくれなくて、白い目で見られて私の心は少しずつ壊れてしまいそうになった。

「大丈夫?みんなは君を疑っているけど、僕は君がそんなことをしないとわかっているよ」

完全に弱っていた時に高嶺さんにそう言われ、抱き締められた。その瞬間に糸が切れてしまったのかもしれない。私の味方は世界でこの人しかいないと思ってしまった。
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