君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
「場所わかりますよ。お教えします」

「本当ですか。ありがとうございます」

男性が近付いてくる。私はスマホを取り出した。その時。男性が私の手を掴んで自身の方へ引き寄せた。そして首筋に冷たいものが当たる。

「えっ……」

「騒がないで。大人しくしてくれれば殺しませんから」

冷たい声が響いて、全身が緊張で固まる。私は今ナイフを突き付けられている。手が恐怖で震えてスマホとパンが地面に落ちた。

「来てください」

男性に車に乗せられて、両手と両足を紐で縛られてしまう。大声を出して叫びたいのに、私は震える声で「何で……どうして……」と呟くことしかできない。

「ずっとこうしたかった」

私を縛った後、男性は嬉しそうに笑って私を抱き締める。悲鳴を上げたいのに声が出ない。ただ体をよじって無意味な抵抗をする。

「僕は雨が好きなんです。雨が降るとみんな外に出ないから、こうやって堂々と攫っても誰にも目撃されない。それに防犯カメラの映像も頼りなくなる」

頰を涙が伝う。男性は嬉しそうに笑った後、私の頰に口付けた。
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