君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
体がガタガタと震えていく。怖い。この人に今から何をさせられるのか怖い。私の手は自然とドアノブに触れた。それを見た男の人は「フフッ」と笑う。

「車、走行中だからロックかかってて出られないよ。そんなこともわからなくなるくらい混乱してるんだね。可愛いなぁ」

男の人の手が私の頭を撫でた。それにびくりと体を震わせると、また「可愛い」という言葉が降ってくる。まるで扱いは愛玩動物だ。

車はそれから走り続け、やがてあるタワーマンションの前で止まる。男の人がニコニコと笑いながら言った。

「今日からここで君は暮らすんだよ。あっ、俺の名前を言ってなかったね。俺は傑(すぐる)。君のご主人様だよ」

傑さんが鞄の中から何かを取り出す。それを見て血の気が引いた。それは首輪だった。赤い首輪を見て傑さんは幸せそうに言う。

「お部屋に入ったらこれをつけようね」

このマンションは、私を閉じ込める大きな檻なのだとその時気付いた。









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