君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
ストックホルム・シンドローム
「ハァ……ハァ……ハァ……」

右を見れば大都会が見渡せる窓。左を見れば広々としてシックな家具で統一されたリビング。そんな一室に私はいる。

私の目の前には大きな鏡があって、今の私の姿が嫌というほど映し出されている。ーーー息を荒くして拘束から逃れようとする私の姿が。

私は椅子に縄で縛り付けられている。手は後ろに回されて、胸周りと二の腕が縄で縛られている。拘束は上半身だけでなく、下半身も揃えた状態で足首と膝に縄がかけられている。

「んっ……!くっ……!」

解こうと必死にもがくものの、縄はギシギシと音を立てるだけで全く緩む気配はない。目を覚ましてから早一時間ほど縄と格闘しているものの、拘束は緩まるどころかむしろキツくなっているような気がする。最悪だ……。

「おまけにこの格好……」

私は気を失うまで会社で働いていた。今日は重要な会議があったためパンツスーツを着ていたのだが、一人になった瞬間に誰かに襲われ、気が付いたら椅子に縛り付けられるだけでなく、スーツを脱がされてメイド服を着せられていた。レースたっぷりの可愛いものだ。こんな格好をさせられてただ恥ずかしい。早く脱ぎたい。
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