君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜

いい子にできないなら

「何回言えばお前は理解するんだ！！来い！！」

髪を乱暴に掴まれた。痛い。でもそれ以上にこれから何をされるのかが怖くて、涙が溢れてくる。

「ご、ごめんなさい！！ごめんなさい！！」

大きな声で謝る。だけど彼は私の髪を掴んだまま歩き出す。私も無理やり歩かされた。ドクドクと心臓が嫌な音を立てる。

「ここで反省な」

無表情で彼は言った。その目は氷みたいに冷たくて、私の体が震え始める。彼が開けたのは「お仕置き部屋」。私がいけないことをした時に使う。今日みたいに彼から逃げ出そうとした時とか。

私は一年ほど前までごく普通のOLだった。でもある日、会社帰りに意識を失って気が付いたらどこかのマンションの一室に監禁されていた。

「おはよう。朝飯作ったぞ」

私を誘拐した彼ーーー仁（じん）はまるで恋人に話しかけるみたいにそう言った。そして私は、誘拐された恐怖から彼の伸ばされた手を振り払って部屋から出ようとした。幸いにも体は縛られたりしていなかったから。