君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜

「んんっ……！」

諦めずに縄と格闘する。ギシギシと静かなリビングに音が響く。外を見れば夕焼けが傾き始めていた。その時、ガチャリと遠くから音がする。鍵が開く音だ。

（もしかして、私にこんなことをした犯人！？）

恐怖が胸の中に広がっていく。このまま私はどうなるのか。殺されるのか。乱暴されるのか。体が震えていく。泣きそうになる。その時、リビングのドアが開いた。

「ああ、意識が戻ったんですね。よかった」

そう言って微笑んだ彼には見覚えがあった。会議でよく合わせる顔だ。私の顔に驚きが広がっていく。

「葉山（はやま）さん！？」

葉山さんは私の働く会社の取引先で働く人だ。私が葉山さんの会社の取引担当者のため、打ち合わせなどで何度か話したことはある。でもプライベートなことは何も話したことがない。

「葉山さんがこんなことをしたんですか！？」

「そうです」

混乱する私の目の前で葉山さんは笑う。その笑顔が怖い。縛り付けられた体が震えていく。

「何で、何でこんなこと！この縄を解いて解放してください！」