君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
聖夜の贈り物
十二月二十五日。街はイルミネーションが飾られて、駅前に置かれた大きなクリスマスツリーをみんなが見ている。デートするカップルや家族連れで街は賑わっていた。今日はクリスマスだ。

白い息を吐きながら私は家へと急ぐ。仕事で少し遅くなってしまった。スーパーで売れ残ったオードブルを買って、コンビニでショートケーキを買う。一人きりのクリスマスパーティーをこれから楽しむ予定。

「レストラン楽しみだね〜」

「奮発したからな〜。しっかり味わえよ」

私の前を綺麗にドレスアップした男女が歩いていた。後ろにいる私はセールで買ったニットにデニムパンツと毛玉ができ始めたコート。住む世界が違うように感じる。でも、クリスマスデートを羨ましいとは思わない。

(あんな思いをするなら、もう彼氏なんていらないかな……)

半年前に付き合っていた人のことを思い出した。その人から逃げて、私は新しいこの街で必死に生きている。あの人から逃げて自由な毎日にいつもホッとしてるんだ。
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