君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
冷たい風が吹いてブルリと体が震える。さっさと帰ろう。明日は仕事は休みだから、買ってあったワインでも開けちゃおうかな。そんなことを考えながらアパートへと足を動かす。

築年数がそれなりにある古いアパートの二階が私の部屋だ。部屋のドアを開けた瞬間、部屋の中から手が伸びてきて私を掴む。驚いて声を上げた時には、私の体はもう部屋の中に引き摺り込まれていた。

「サプラ〜イズ!驚いただろ?」

そう言い、目の前で笑う彼を見て私の体は震えた。半年前に逃げるように別れた元彼だ。何で?どこに住んでいるかなんて教えていなかったのに……。

「おい、返事しろよ!」

ニコニコと笑っていた彼は不機嫌な顔になり、私を小突く。肩が大きく揺れた。まだ殴られなかっただけマシだ。

「どうして、どうして、ここに実(みのる)くんがいるの?私、この場所教えてないのに……」

「楓(かえで)、お前って馬鹿だよな。俺から逃げられると本気で思ってたのか?お前は逃げられないんだよ。世界中どこに逃げたってな」
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