君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
強く抱き締められる。多分、答えるまで離さないつもりなんだろう。なので真剣に考える。

あの事故がもしも総司くんによって仕組まれたものだったらってことだよね。考えてみて、すぐに答えが出た。

「嫌いになんてならないよ。むしろ感謝してるのかな。もしもあのまま婚約者と結婚してたら、こんな穏やかな気持ちで日常を送れたかわかんないし」

これが嘘偽りのない私の気持ちだ。目が見えなくても総司くんがそばにいてくれる。それが何よりも幸せなんだ。

「……ありがとう、日菜ちゃん」

総司くんがさらに強く抱き締めてくる。「苦しいよ」と言いながら私が笑うと、総司くんは「ごめんね」と言った後に私の唇を奪った。何度も唇を重ね、互いの体に触れる。

目が見えないから、今総司くんがどんな顔をしているかわからない。でも触れられた手は優しくて、温かくて、私は世界で一番幸せなの。

「愛してるよ。日菜ちゃんの目が見えなくなって本当によかった」

「私も愛してる。いつもそばにいてくれてありがとう」

二人の世界は決して「可哀想」なんかじゃないの。例えこれが作られたものだったとしても。
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