君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
鳥籠の中で寵愛を
私の働く会社には、容姿端麗で成績優秀、さらに性格も優しくて真面目という完璧すぎる男性がいる。その名は芹沢(せりざわ)さん。噂ではご実家は資産家らしく、社内の女性たちの憧れの的だ。私もその一人。芹沢さんの存在に癒されていたりする。

「三雲(みくも)さん、資料作成ありがとうございます。とても見やすくて助かりました」

私が仕事をしていると、芹沢さんが話しかけてきた。声までいいなんて、この人にマイナスなところなんてないんじゃないか。そんなことを考えながら私は芹沢さんに笑いかける。

「わざわざありがとうございます。またいつでも言ってください」

芹沢さんは「ありがとうございます」と言い、自分のデスクへ戻って行った。それを見てから私も仕事を再開する。

芹沢さんは社内の女性から注目されている。でもみんな恋愛というより、推しているアイドルみたいな目で見ている。何故なら芹沢さんには婚約者がいるからだ。

生まれた時から結婚が決まっている所謂許嫁。写真で一度見せてもらったことがあるけど、立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花という言葉がぴったりの美人な人だった。有名大学を卒業していて実家はお金持ち。芹沢さんにぴったりの相手だ。
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