君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
「美波さん、僕は嫌です。あなたが埼玉に帰ったら、どうせこの町にはもう来てくれない。大学に入ったら、サークルに入って忙しくなるかもしれない。彼氏ができるかもしれない。そんな未来が来ないように、二人で心中しましょう」

前くんは私を横抱きにし、海へと迷うことなく入って行く。私は体に力が入らないせいで抵抗できず、おまけに声も出せなくなって悲鳴も上げられない。ただ、心の中で「やめて!!」と叫び続ける。でも心の声は前くんには届かない。

私の体に潮水が触れた。夕焼けに照らされた前くんの顔が眩しい。彼は笑顔だった。一緒に過ごした中で1番の笑顔だった。

「愛しています、美波さん」

二人の体が、大きな波に呑まれた。














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