君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
小柄な男の子が駆け寄って来る。同じ文芸部の後輩の新一（しんいち）くんだ。同じ小説家が好きで仲がいい。私にとって可愛い弟みたいな存在だ。

「制服、びしょびしょじゃないですか。これ羽織ってください！」

新一くんが着ているカーディガンを脱いで渡してくる。私は「ごめんね」と言ってそれを受け取る。新一くんは男子にしては小柄だけど、私よりは大きい。

「何でこんなに濡れてるんですか？」

心配そうに新一くんが私を覗き込む。泣きそうになっているのがバレないか不安になり、慌てて新一くんから距離を取った。

「大丈夫、大丈夫だよ！ただちょっと友達とふざけてて……。これ、明日には返すから」

新一くんから逃げるように背を向けて走る。いじめられているなんて絶対に知られたくない。特に新一くんには。

でも、新一くんの優しさに泣きそうになった。



それから数日、新一くんにはきちんとカーディガンを返して、いつも通りの日常が過ぎていく。あの人たちには相変わらず嫌がらせされているけど、本と文芸部の活動があるから生きていける。

家に帰り、夕ご飯とお風呂を済ませて本を読もうとした。その時、スマホにLINEがくる。新一くんからだ。
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