君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
家に向かって歩く。帰ったら少し休もう。そう思っていた。その時、目の前に車が止まる。この外車、見覚えがあるものだ。

「梓」

車から降りてきたのは秀一だった。私は驚きながら「もう出張終わったの?」と訊ねる。あと三日はアメリカにいるって聞いたはずなんだけど……。

「早く梓に会いたくて予定を早めたんだ。……でも、梓は俺とは真逆だったみたいだな」

秀一の目が私の手元にあるキャリーケースに向けられる。その目が恐ろしいほど冷たくて、私は後ずさった。

「ベトナムにちょっとね。今度お土産渡すから!」

そう言って秀一に背を向けて歩こうとした。刹那、腕を掴まれてしまう。

「秀一?」

腕を掴まれただけなのに動けなくなる。すると秀一は私を抱き上げた。口から大きな声が出てしまう。

「しゅ、秀一!降ろして!」

「黙れ」

その低い声に体が強張る。口を閉ざした私に秀一は何も言うことなく、車に乱暴に乗せた。そのまま車は走り出し、しばらくすると何度か遊びに行ったことがある秀一の家に着く。
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