君は僕のもの〜ヤンデレ短編集〜
でも私は男の人を好きになることはなかった。むしろ日が経つにつれて自由を求めた。ここにいてはいけない。逃げなくちゃ。そう自分に言い聞かせ続けた。

そして今日、男の人が買い物に行く前に私の髪をヘアアレンジしてくれた。ヘアピンを使ったもの。それを見た時、私は脱出することを決めた。ヘアピンを使って鍵を開ける方法は漫画で勉強済み。

「じゃあ行ってくるから。いい子にしてるんだよ」

男の人が出て行った。しばらく待ってから動く。ヘアピンでまず手錠の鍵をいじって外す。次に足枷を外す。お風呂に入る時以外はつけられていた拘束が外れた。自由って当たり前のことなのに、飛び上がってしまいそうになるほど嬉しかった。そんな嬉しさを感じれたのも数分までだったけど……。

部屋の鍵もヘアピンで難なく突破し、廊下を走る。監禁されている部屋の外には出たことがあるため、どこに何の部屋があるのかは把握している。ただ玄関付近には行ったことがない。というより行かせてもらえなかったけど。

「確か、こっちが玄関……!」

廊下を走り、やっと自由になれると思った私は絶望することになる。
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