わたしのプリンスさま〜冴えない男子の育て方〜
第3章〜ピグマリオン効果・教育心理学における心理的行動に関する考察〜⑫
寿太郎は、引き続き、舞台上で妹の柚寿とともに彼女が台本を書いた『女子が感じる蛙化現象あるあるランキング』を発表するネタを続ける。
柚寿「じゃあ、次は、第2位! 寿太郎クンとのお出かけ。楽しいな〜 あっ、あんなところに急にバナナの皮が!」
太郎「おっとっと! (あぶねえ……間一髪コケなくて済んだわ。カッコ悪いし、ナニもなかったふりしておこう) さぁ、行こうか? 柚寿ちゃん」
柚寿「うわ……このヒト、いまコケそうになったのに、澄まして歩き続けてる……? はい、蛙化!」
太郎「えっ? はっ!?……ナニが!? これ、どうするのが正解なんだ!?」
柚寿「蛙化現象あるある第2位 転びそうになったあと、澄まして歩き続ける! 『なにごともなかったようにしているのが引く』『ここから面白くする努力をしてほしい』『そのあと、すぐに別れましたね』『マジ無理…………w』ちょっとしたトラブルのあとのリカバリーって大事よな〜」
太郎「いやいや、十分にリカバリーできてるんちゃいますの? この行動のドコに非があるというのか? 地雷が埋まってる場所がマジでわからへんやん……」
柚寿「さぁ、そして、蛙化現象あるある栄光の第1位! ずっと片想いしていた寿太郎くんに、体育館裏に呼び出されちゃった……もしかして、このシチュエーションって……」
太郎「来てくれてありがとう柚寿ちゃん……オレ、前からキミのことが好きだったんだ……付き合ってください!」
柚寿「片想いしてたヒトが告ってきた! はい、蛙化!」
太郎「ちょっと待て〜い! なんで、片想いしてた相手に告白されて引いてるの? これ、普通に付き合う流れやん! こんなん、理不尽を通りこして、もはや、不条理、シュール劇の領域やろ……」
柚寿「蛙化現象あるある第1位 両思いになった瞬間、気持ちが冷める! 『両想いってわかった瞬間気まずくなって私が冷めた、マジで』『両想いになった途端《あっ、この人無理》みたいな気持ちになる』『好きな人に好きって言われたら満足して好きじゃなくなる』『告白された時に萎える』『自分なんかを好きになっちゃうのか……ってなる』『何故かそうなってしまう』『自分がそれで悩んでいる』というわけで、圧倒的な票数で本来の蛙化現象とも言える項目が第1位に輝きました〜! パチパチ〜」
太郎「拍手してる場合か!? オトコからしたら、こんなん絶対攻略不可能なゲームやん! 恋愛って、こんなにハードルが高い無理ゲーなん? みんな、どうやって付き合い始めてるの?」
柚寿「そう言われても、無理なモノは無理なんだから、仕方ないんちゃうん?」
太郎「仕方ないんちゃう、で済む話しなんか、これ……オトコの草食化が問題視されてるけど、この状況では、オトコが草食化するのも仕方ないんちゃうん?」
柚寿「そうやって屁理屈ばっかり言ってるから、ダメなんよ? オトコのヒトにも、女子の行動で萎える『逆蛙化現象』くらいあるやろう?」
太郎「オトコは、女子ほど理不尽なこと言わね〜よ! でも、前にクラスのヤツらが、可愛いと思ってた女子が、『自転車で立ち漕ぎしてるのを見たら冷める』って言ってたのを聞いたことがあるな〜」
柚寿「ハァ!? ナンダそれ? 意味わかんないんだけど――――――ナニ? 女子は、オトコの前で、ずっと可愛くいないといけないとか、考えてんの? どんだけ、幻想の世界に生きてるん? その男子、ちょっと、ココに連れてきて! 後ろの穴から手ェ突っ込んで奥歯ガタガタいわせたうえで、根性たたき直してやるから!」
太郎「――――――あのさ、兄として忠告しておくけど、今どきの十代の女子で、その言葉づかいは、やめておいた方がいいと思うぞ? もはや、『逆蛙化現象』ってレベルの話しじゃね〜し……」
柚寿「女子としては、それだけ、理不尽なことを言われて黙ってられないって言うこと……まぁ、でも、その点、うちの兄はイイんですよ。いまは、見た目シュッとして、こんな、小マシな感じになってますけど……お兄ちゃん、ちょっと、髪の毛もどしてみて」
太郎「なんだよ、いまさら……」(そう言いながら、クシャクシャと、髪の毛を触ってヘアスタイルを崩す)
柚寿「クラスメートの女の子のアドバイスを受けるまでは、こんな感じで、アカ抜けない上に、家ではずっとグレーのスウェット姿ですからね……その格好を事前に知ってたら、幻滅することも無いから、蛙化現象なんて、起きませんからね〜」
太郎「オレのプライベートをさらすのは、止めてくれ! それよりさ、ここまで色々と好きなように言ってるけど……柚寿は、個人的にコレをされたら萎える、って蛙化するシチュエーションとかあるの?」
柚寿「そうやなぁ……わたしの場合、推してる《歌い手》のヒトがおったんやけど、そのヒトが、ライブ配信してるカメラの前で付き合ってる彼女に一方的に別れを告げて、挙げ句の果てに、新しい彼女とイチャついてるのを見たときかな?」
太郎「いや……それは、同性の立場から見ても、オトコがクズなだけだろう……蛙化現象、関係ねぇ!」
柚寿「それも、そうか……」
太郎&柚寿「どうも〜! ありがとうございました〜」
寿太郎からすれば、手前味噌な評価ではあるが、自室にあるウォークイン・クローゼットにこもり、ひたすらネタをすり合わせた甲斐もあって、最初はようすをうかがうように舞台を見つめていた観客も、柚寿のテンポの良い語り口と理不尽なキレ芸にココロをつかまれたのか、最後は、不知火たち映文研のメンバーに送っていたのと同じくらいの喝采を彼ら兄妹にも送ってくれた。
そして、寿太郎は舞台から降りるとき、チラリと鳴尾ハルカの方のようすを確認すると、彼は表情を変えることのないまま、亜矢の方に視線を送っていた。
柚寿「じゃあ、次は、第2位! 寿太郎クンとのお出かけ。楽しいな〜 あっ、あんなところに急にバナナの皮が!」
太郎「おっとっと! (あぶねえ……間一髪コケなくて済んだわ。カッコ悪いし、ナニもなかったふりしておこう) さぁ、行こうか? 柚寿ちゃん」
柚寿「うわ……このヒト、いまコケそうになったのに、澄まして歩き続けてる……? はい、蛙化!」
太郎「えっ? はっ!?……ナニが!? これ、どうするのが正解なんだ!?」
柚寿「蛙化現象あるある第2位 転びそうになったあと、澄まして歩き続ける! 『なにごともなかったようにしているのが引く』『ここから面白くする努力をしてほしい』『そのあと、すぐに別れましたね』『マジ無理…………w』ちょっとしたトラブルのあとのリカバリーって大事よな〜」
太郎「いやいや、十分にリカバリーできてるんちゃいますの? この行動のドコに非があるというのか? 地雷が埋まってる場所がマジでわからへんやん……」
柚寿「さぁ、そして、蛙化現象あるある栄光の第1位! ずっと片想いしていた寿太郎くんに、体育館裏に呼び出されちゃった……もしかして、このシチュエーションって……」
太郎「来てくれてありがとう柚寿ちゃん……オレ、前からキミのことが好きだったんだ……付き合ってください!」
柚寿「片想いしてたヒトが告ってきた! はい、蛙化!」
太郎「ちょっと待て〜い! なんで、片想いしてた相手に告白されて引いてるの? これ、普通に付き合う流れやん! こんなん、理不尽を通りこして、もはや、不条理、シュール劇の領域やろ……」
柚寿「蛙化現象あるある第1位 両思いになった瞬間、気持ちが冷める! 『両想いってわかった瞬間気まずくなって私が冷めた、マジで』『両想いになった途端《あっ、この人無理》みたいな気持ちになる』『好きな人に好きって言われたら満足して好きじゃなくなる』『告白された時に萎える』『自分なんかを好きになっちゃうのか……ってなる』『何故かそうなってしまう』『自分がそれで悩んでいる』というわけで、圧倒的な票数で本来の蛙化現象とも言える項目が第1位に輝きました〜! パチパチ〜」
太郎「拍手してる場合か!? オトコからしたら、こんなん絶対攻略不可能なゲームやん! 恋愛って、こんなにハードルが高い無理ゲーなん? みんな、どうやって付き合い始めてるの?」
柚寿「そう言われても、無理なモノは無理なんだから、仕方ないんちゃうん?」
太郎「仕方ないんちゃう、で済む話しなんか、これ……オトコの草食化が問題視されてるけど、この状況では、オトコが草食化するのも仕方ないんちゃうん?」
柚寿「そうやって屁理屈ばっかり言ってるから、ダメなんよ? オトコのヒトにも、女子の行動で萎える『逆蛙化現象』くらいあるやろう?」
太郎「オトコは、女子ほど理不尽なこと言わね〜よ! でも、前にクラスのヤツらが、可愛いと思ってた女子が、『自転車で立ち漕ぎしてるのを見たら冷める』って言ってたのを聞いたことがあるな〜」
柚寿「ハァ!? ナンダそれ? 意味わかんないんだけど――――――ナニ? 女子は、オトコの前で、ずっと可愛くいないといけないとか、考えてんの? どんだけ、幻想の世界に生きてるん? その男子、ちょっと、ココに連れてきて! 後ろの穴から手ェ突っ込んで奥歯ガタガタいわせたうえで、根性たたき直してやるから!」
太郎「――――――あのさ、兄として忠告しておくけど、今どきの十代の女子で、その言葉づかいは、やめておいた方がいいと思うぞ? もはや、『逆蛙化現象』ってレベルの話しじゃね〜し……」
柚寿「女子としては、それだけ、理不尽なことを言われて黙ってられないって言うこと……まぁ、でも、その点、うちの兄はイイんですよ。いまは、見た目シュッとして、こんな、小マシな感じになってますけど……お兄ちゃん、ちょっと、髪の毛もどしてみて」
太郎「なんだよ、いまさら……」(そう言いながら、クシャクシャと、髪の毛を触ってヘアスタイルを崩す)
柚寿「クラスメートの女の子のアドバイスを受けるまでは、こんな感じで、アカ抜けない上に、家ではずっとグレーのスウェット姿ですからね……その格好を事前に知ってたら、幻滅することも無いから、蛙化現象なんて、起きませんからね〜」
太郎「オレのプライベートをさらすのは、止めてくれ! それよりさ、ここまで色々と好きなように言ってるけど……柚寿は、個人的にコレをされたら萎える、って蛙化するシチュエーションとかあるの?」
柚寿「そうやなぁ……わたしの場合、推してる《歌い手》のヒトがおったんやけど、そのヒトが、ライブ配信してるカメラの前で付き合ってる彼女に一方的に別れを告げて、挙げ句の果てに、新しい彼女とイチャついてるのを見たときかな?」
太郎「いや……それは、同性の立場から見ても、オトコがクズなだけだろう……蛙化現象、関係ねぇ!」
柚寿「それも、そうか……」
太郎&柚寿「どうも〜! ありがとうございました〜」
寿太郎からすれば、手前味噌な評価ではあるが、自室にあるウォークイン・クローゼットにこもり、ひたすらネタをすり合わせた甲斐もあって、最初はようすをうかがうように舞台を見つめていた観客も、柚寿のテンポの良い語り口と理不尽なキレ芸にココロをつかまれたのか、最後は、不知火たち映文研のメンバーに送っていたのと同じくらいの喝采を彼ら兄妹にも送ってくれた。
そして、寿太郎は舞台から降りるとき、チラリと鳴尾ハルカの方のようすを確認すると、彼は表情を変えることのないまま、亜矢の方に視線を送っていた。