あの夏で待ってる



学校に近づくにつれて、夏祭りの雰囲気が迫ってくる

5年前、毎日通っていた学校はひどく小さく見えた



「おねえちゃん!よーよーやりたい!」



夏祭りってこんな感じだっけ

もっとキラキラしていて、ワクワク感があって



「きらきらのやつほしいー!」

「あれかな?」

「うん!」

「よし、買いに行こう」



キラキラ光る輪っかも、

空気で膨らんだ剣も

なかなか届かない輪投げも、

全然入らないボール入れも

なんだかもっと、心が踊るものじゃなかったっけ



「たのしいね!とっても楽しい!」

「・・うん、楽しいね」

「スーパーボールもしたい!」

「よし、やろう!」



夏祭りは今も楽しいんだと思う


私が大きくなっただけ

この街を離れて過ごした時間は、あまりに長すぎた



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