星合いの夜が来る前に
「あれ? 来てたんだ?」


「はっ、はい! ちょっと本を借りようかなー……って思って」


慌てて両手をサッと後ろに回して、持ってきた短冊を隠す。


「そうなんだ。てっきり君も願い事を書いた短冊でもくくりつけに来たのかと思ったよ」


「あ、あはは……。そうなんですね……」


ああもう、どうしよう……。


迷いに迷った挙句、今日は『先輩と七夕祭りに行けますように』って書いた短冊を持って来たのに、笹につるすタイミングを失っちゃったよ……。


まあでも、先輩に偶然会えたから、別に大きなショックは受けてないけどね。


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